目の構造

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1.【 まつげ 】

まつげは、眼瞼(まぶた)の端に生える体毛。英語では「アイラッシュ (eyelash) 」。日本語表記には「まつ毛」「睫」「睫毛」などがある。

まつげは眉毛とともに目の周辺に特に発達した体毛である。眉毛は人に独特のものであるが、まつげは様々なほ乳類、あるいはそれ以外の動物にも見られる。
一般的な体毛より太くて長さがそろっており、まぶたの眼球側の縁に沿って一列に並んでいる。上下のまぶたにあるが、上の方が強い。普通は反り返って目から離れる方向に曲がる。まつげには埃などの異物が目の中に入るのを防ぐ役割があり、上側がより発達するのもこの機能に関連していると思われる。 また、ネコやネズミの髭の機能と同じように、接触をとても敏感に関知する機能があり、反射的に眼瞼を閉じるなどの行動に直結している。これは眼球を守るのに役立つ。

人間のまつげ

まつげは胎児の7週目から8週目に生え始めるとされ、抜けた場合には4週間から8週間の周期で生え変わる。色は髪の毛の色と必ずしも同一とはいえず、髪の毛よりもやや明るめの色になる傾向がみられる。 まつげの毛包は、眼瞼の脂腺や睫毛腺などの腺と関係している。

化粧

メイクアップされたまつげ。 すべての文化に共通とはいえないものの、まつげが長いことが「女性らしさ」とされる文化は多く、人為的に長くまたは多く見せたい傾向があり、化粧もそれを目指すものが大半である。まつげを彩る化粧の発祥は青銅器時代にまで遡り、その時代にはコール(kohl)と呼ばれるマスカラの一種が既にあった。 まつげの強調は目の強調とほぼ目的を同じにしており、マスカラ、アイシャドー、アイライナーなどと組み合わせることによって総合的にアイメイクと呼ばれる。20世紀にはつけまつげがポピュラーになり、1960年代にそのブームはピークを迎えた。近年ではまつげを太く長く丈夫にする効果が期待できるという「まつげ美容液」とカテゴライズされる商品も市場に出回り始めた。
補助的な器具としてはビューラーもしくはアイラッシュ・カーラーと呼ばれる、まつげをはさんでカールし、上方に先端を持っていくことで目を大きく見せ、マスカラのノリを良くする、はさみ状の化粧道具がある。
いわゆる化粧の範疇からは外れるが、「まつげエクステンション」(「まつげエクステ)と略される場合もある)と呼ばれる、自前のまつげに人工毛などを装着し長さや数を増やす方法もある。もともとは髪の毛の技術であったパーマネントウエーブを施す方法もあるほか、植毛を美容整形として行う技術もある。

健康

まつげに関する疾病等には主に次のようなものがある。
まつげが損失する "Madarosis" という症状がある。
眼瞼縁炎はまぶたの縁の炎症。まつげを損失するケースがある
睫毛重生は、いわゆる二重まつげで、複数の列から生えてきてしまう発育異常の一種である。
さかまつげ(「さかさまつげ」とも言う)は、まつげが眼球方向に発育してしまう症状である。まつげの毛先が角膜などを傷つける場合があり、日本では「逆さまの松の木」を絵馬に描き、奉納することにより治癒祈願をした。
抜毛症・抜毛癖によりまつげを抜いてしまう場合がある。
麦粒腫、いわゆる「ものもらい/めばちこ」は、眼瞼の脂腺や睫毛腺などの腺の炎症によって起こる。

   


  

2.【 まぶた(瞼) 】

まぶた(眼瞼ともいう)は、目を覆い保護する皮膚・筋・脂肪等の身体組織。 「上まぶた(上眼瞼)」と「下まぶた(下眼瞼)」がある。

まぶたの主な用途として、以下の4つが挙げられる。
外部の刺激から眼球を保護する
眼球表面に付着したゴミや埃を除去する
眼球に水分を補給する
目に入ってくる光量を調節する

一重と二重

ふちに溝がないまぶたを「一重(ひとえ)まぶた」、ふちが溝があり二重(にじゅう)になっているまぶたを「二重(ふたえ)まぶた」と呼ぶ。また、ふちに溝はあるもののそれが隠れてわかりにくい状態のまぶたを俗に「奥二重(おくぶたえ)」と呼ぶ。
一般的に近年の日本および東洋社会では二重まぶたのほうが優しい、柔和、可愛いといったポジティブな美意識がある程度定着しているせいか、一重まぶたの者の中にはアイプチや美容外科手術で二重まぶたに変える者がいる。体質によっては、目の疲労などによって一重から二重に、さらに、風邪をひいた時に二重になるものもいるが厳密にはこれらの変化によっておこる二重は二重瞼の分類には属さない。 白人・黒人はほぼ全員が二重の為、二重の瞼を美の基準とする文化はない。しかしながら、西洋社会で東洋人を美的に好む人々や国際ミスコンテストなどの東洋代表が一重瞼で細い目の魅力を武器とする場合もある。

瞬膜

脊椎動物の多くは、まぶたと眼球との間に瞬膜(しゅんまく)と呼ばれる半透明の膜を持っている。 まぶたが垂直方向の運動をすることが多いのに対し、瞬膜は水平方向の運動をすることが多い。 鳥類、爬虫類、無尾両生類、魚類の一部(サメ類など)は瞬膜が発達しているが、哺乳類では退化しておりわずかに痕跡を残しているに過ぎない。

   


  

3.【 涙腺 】

涙腺(るいせん、英:lacrimal gland)とは外眼角に存在する眼球付属腺の1つ。涙液膜はムチンから構成される最内層、涙液から構成される中間層、脂肪から構成される外層からなる。涙腺はほとんどの動物では漿液腺であり、その分泌液である涙液は漿液性であるが、ブタでは粘液腺である。涙腺は涙液を分泌することによって角膜や結膜への栄養供給、微生物や紫外線に対する障壁などの機能を果たす。涙腺、涙小管、涙嚢、鼻涙管を総称して涙器と呼ばれる。

   


  

4.【 目 】

目(眼、め)とは、明暗、物質の形状・色などを捉える感覚器官であり、光受容器である。基本的に、光の反射板にあたる構造と、光を感じ、その情報を興奮として視神経に伝える細胞(視覚細胞)から出来ている。ここから受容される刺激による感覚を視覚という。
反射板の上に視覚細胞が並べば、ここで光の方向が分かり、視覚細胞の並んだ面を網膜と呼ぶ。光の入り口を狭めることで、ピンホールカメラの原理で網膜上で像が結べるように調節している。そこに光の入り口にレンズや絞りをつければ、更に性能が上がる。
多くの発達した動物は、頭部に複数の眼を持つが、左右一対の例が多い。ただし様々な例があり、偶数個とは限らず、たとえばセミは5(複眼2と単眼3)つ持つ。

ヒトの目

目は受容器の一つで、光を感じ取る。構造がカメラに似ていることから「カメラ眼」とも呼ばれる。顔面に左右一対あり、立体視による遠近感を認識できる。

ヒトの眼の構造

球体になっており、外側は角膜、強膜(いわゆる「白目」(しろめ)の部分)で構成され、眼球の球体を維持する。

光の受容

遠くからの光(左図)と近くからの光(右図)が網膜で焦点が合う様子。近い場合はレンズが厚くなっている。
像はまず角膜を通り、瞳孔を経て眼球内部に入る。外部の光の量によって虹彩が収縮し、瞳孔の大きさを調節する。
網膜上に像を合わせるために水晶体により像を屈折する。水晶体はチン小帯・毛様体の働きによって厚さが調節され、カメラと同じように広い距離の焦点を合わせることができる。
屈折した像は硝子体を通して網膜に映りこむ。
水晶体がレンズ状であるため水晶体が屈折の主な役割を果たしていると思われがちだが、実際には屈折は空気と角膜との屈折率の差によってほとんど行われており、水晶体は焦点の調整のみに関わっているといってよい。そのため、角膜が傷つくと失明のおそれがある。
網膜には杆体細胞、錐体細胞の2種類の視細胞があり、この細胞を通じて視神経経由で視覚情報が大脳に送られ、視覚となる。杆体細胞は暗所で機能する。光に対する感度が高い。錐体細胞は、明所で機能する。光に対する感度は低いが色彩の識別が可能である。
外部には、瞼(まぶた)、まつ毛がある。瞼は外部からの異物や強力な光をさえぎるほか、まばたきすることにより眼球表面(結膜)へ涙を送る。

瞳の色

個体により瞳の色が異なるのはメラニン色素の量の違いによる。色素量によって青<緑<茶<黒のように見える。色素異常によって色素量が極端に少ない場合、血液の色が透けて見え、赤い瞳となる。白ウサギの目が赤いのはこのためである。

活動

視力は生まれた時は未熟で明暗がわかる程度であるが、年を追うごとに発達し、6歳程度でほぼ完成、通常時の視力は3歳で約0.6、6歳で約1.0となる。幼少期に目の障害などで成長が阻害されると機能がうまく発達せず、弱視となる。目の機能は40歳程度から衰え始め、老眼等の症状が出る。
現代人はテレビ・パソコン等で目を酷使するためドライアイになる割合が高い。目を酷使しないためには60分目を使った後は10分休憩するなどのケアが必要である。

進化論と目

上記のように脊椎動物の目は複雑な構造であり、どれか一つでも要素が欠けると正常な視力が得られないと考えられるとして、しばしば創造論者によって「最初から完全な状態で作られていなければ目は目たりえない」として進化論の否定的な例の引き合いに出される。創造論者によって、『種の起源』の著者であるチャールズ・ダーウィンが、これをうまく説明できないことを「自論の欠点」としていたと誤った引用がなされることもある。
これに対しては「空気と水では屈折率が異なり、動物が陸上に進出する前はより単純な目で視覚が得られた(具体的には角膜などを必要としない)」「そもそも原始的な生命は鮮明な視覚を必要としなかった」などの再反論がなされる。また、完全な視覚がなくとも生活可能であることは、近視や乱視を矯正せずに生活している人間が多く存在していることからも明らかである。さらに、動物界を広く観察すれば、実に様々な段階の眼が存在し、それらの性能も実に様々であることが分かっており、現在の知見ではむしろその進化をたどることが可能な面も多い。 タコの目とヒトの目は良く似ているが、発生生物学的には、発生様式が異なるので収斂進化による相似器官だと言える。一方、分子生物学的には、タコとヒト(に限らずさまざまな門に属する動物)の目は、よく似た塩基配列の遺伝子の発現によって生じるので、適応放散の結果発生様式が違うようになった相同器官だと言える。



目は視覚情報をとらえ,脳に伝える器官です。眼球は強膜という硬い膜でつくられた直径約24ミリの球状をしています。この強膜の球の前後に2つの穴があいていて、前方の穴には角膜が、後方の穴視神経が入っています。目はよくカメラに例えられますが,ここでも目の構造と機能を,カメラを例にして説明しましょう。

   


  

角膜

目の一番外側にある透明な光のとり入れ口になっていて、表面は常に涙液で覆われています。

結膜

角膜周囲の白目の部分です.下にある強膜とは強く接着がなく、しわがよります。結膜には血管があります。

水晶体(レンズ)

光を屈折を調節して、網膜上に焦点を合わせます。

虹彩

角膜を通して見える茶褐色の膜(黒目といわれる部)で、中央に穴があいており、これが瞳孔です。

瞳孔(ひとみ)

明るさに応じて目にはいる光の量を調節します.瞳孔は明るい所では小さくなり,暗い所では開きます。

強膜

眼球の構造を支える一番外側の丈夫な膜です。

網膜(フィルム)

光を感じる細胞(視細胞)と視細胞の働きを集約したり、支持したりする細胞が集まっている感覚網膜と、フィルターともいうべき網膜色素上皮とできています.視細胞の数は約1億2千万です。

脈絡膜

網膜に栄養を補給する血管膜です。

ぶどう膜

虹彩と毛様体と脈絡膜を合わせてこう呼びます。

視神経

網膜にとり入れられた視覚情報を脳に伝える神経です.視神経は約100万本です。視細胞の数と比較すると、視細胞とのつながりに視細胞の働きを集約があることがお分かりでしょう。

中心窩

網膜の中心で、解像力が1番優れています。

視神経乳頭

視神経が強膜の後ろの穴を通って外へでる部分です.視神経乳頭には視細胞がなく,光を感じることができず.盲点と呼ばれています。

毛様体

眼球内をみたす房水を作り出したり、レンズの調節を行っている部分です。

隅角

角膜の後面と虹彩の1番端の部分で、房水が眼球内から外に流れ出す排出路があります。

チン小帯

レンズと毛様体を結び、レンズを支え、毛様体の調節力をレンズに伝える部分です。